訪問看護とは?
今日本は、諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進んでいます。今後も65歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されています。このような状況の中、国民の医療や介護の需要は、更に増加することが見込まれています。厚生労働省では、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援のサービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。
訪問看護は、そのシステムを支えるサービスの一つです。病気や障害を持った人が住み慣れた地域で、その人らしく療養生活を送れるように、看護師等が生活の場へ訪問し、医師の指示書のもとに、看護ケアを提供し、自立した生活を送れるよう支援します。
最近では在宅での療養生活を望まれる方が増えています。でも、「家族だけでは介護や医療的ケアが心配」「一人暮らしでは不安」と感じることも多くあります。そんな時、訪問看護は、関係職種と連携し、在宅ケアサービスの一員として、在宅療養を支えます。
医療は「治す医療」から「治し支える医療」へ方針をシフトし、病院から在宅へ継続的な医療の提供が課題となっています。病院の看護にも地域の看護にもぞれぞれの役割があり、その違いを知ることで、地域における看護としての訪問看護の理解を深めることができます。ところが、看護師の96%は、病院やクリニックなどの医療機関、介護保険施設などに従事していると言われ、訪問看護の仕事を知らない人がたくさんいます。もっと多くの看護師に訪問看護の仕事を知ってもらう必要があります。まずは、病院と地域における看護の違いを紹介します。
病院と地域における看護の違いは?

訪問看護の仕事とは?
療養しながら生活する方のご自宅へ看護師等が訪問し、看護サービスを提供する仕事です。看護師の適切な判断に基づいたケアとアドバイスで、その人らしい療養生活が送れるように支援します。また、医師や関係機関と連携をとり、さまざまな在宅ケアサービスの使い方を提案します。対象者は赤ちゃんから高齢者まで年齢にかかわらず、在宅での療養生活を希望する方に訪問看護を提供します。
訪問看護の内容は次のようなものです。
1.健康状態のアセスメント
①全身の健康状態のアセスメント(バイタルサイン、体重、筋力、視力、聴力、皮膚の状態、意欲、意思疎通、認知力、精神状態、睡眠、栄養状態、排泄状況等)
②病状や障がいのアセスメント
③日常生活に影響を及ぼす要因のアセスメント
2.日常生活の支援
①清潔ケア(清拭、入浴介助等)
②栄養管理及びケア(食事摂取への支援、脱水予防等)
③排泄管理及びケア(排泄の自律支援、ストーマ管理、適切なオムツ使用等)
④療養環境の整備(適切な福祉用具の使用等)
⑤コミュニケーションの支援
3.心理的な支援
①精神・心理状態の安定化のケア
②睡眠等日常生活リズムの調整
③リラックスの為のケア
④希望や思いを尊重した生活目標に沿った支援(生きがい、家族や隣人とのつながり等)
⑤家族や関係職種間の人間関係の調整
⑥お客様の思いの尊重、尊厳の維持
⑦お客様の権利擁護(代弁者)
4.家族等介護者の相談・支援
①介護・看護負担に関する相談
②健康管理、日常生活に関する相談
③精神的支援
④患者会、家族会、相談窓口の紹介
⑤患者会、家族会、相談窓口の紹介
5.医療的ケア
①医師の指示に基づく医行為(点滴注射、褥瘡・創傷処置等)
②医療機器や器具使用者のケア(経管栄養法管理、様々な留置カテーテルの管理、在宅酸素療法管理、吸引、人工呼吸器使用上の管理等)
③疼痛、血糖コントロール、脱水等の症状マネジメントと医師等への情報提供
④服薬管理
⑤急変、急性憎悪等による緊急時対応(24時間体制)
⑥その他、主治医の指示による処置・検査等
6.病状悪化の防止(予防的看護
①褥瘡・拘縮・肺炎・低栄養等の予防、健康維持、悪化防止の支援
②寝たきり予防の為のケア
7.入院(入所)退院(退所)時の支援
①退院(退所)時の連携(医療処置・ケアの引継ぎ、在宅医療・看護体制整備)
②入院(入所)時の連携(在宅での医療処置・ケア等の引き継ぎ等)
③ケアマネジャー(介護保険)、相談支援専門員(障害福祉)等関係者間との連携
④入院病院、入所施設、関係機関等との連携
8.認知症の看護
①中核症状、BPSDに対する看護
②睡眠、食事等生活リズムの調整
③コミュニケーションの支援
④家族等介護者支援
⑤環境整備、事故防止のケア
9.精神障がい者の看護
①精神症状に対する看護
②睡眠、食事等生活リズムの調整
③コミュニケーションの支援
④掃除、洗濯、買い物、料理、金銭管理等日常生活の自律支援
⑤服薬、デイケア、外来通院等医療の継続支援
⑥就労等、社会生活復帰への支援
10.エンドオブライフケア
①疼痛、苦痛等の緩和ケア
②食事・排泄・休憩運動等療養生活の支援
③療養環境の調整
④看取りの体制への相談・アドバイス
⑤本人・家族の精神的支援
⑥遺族へのグリーフケア
11.リハビリテーション看護
①体位変換、ポジショニング、関節可動域訓練等の実施と指導
②ADL・IADLの維持・向上の為の訓練
③福祉用具(ベッド・ポータブルトイレ・車いす・自助具等)の利用支援
④外出・レクリエーションの支援
⑤生活自立・社会復帰への支援
12.重度心身障がい児・医療的ケア児の看護
①医療機器や器具使用者のケア(様々な留置カテーテル管理、吸引、経管栄養法管理、気管カニューレ・人工呼吸器使用上の管理等)
②発達過程・障がいに応じた看護、生活リズム調整
③家族支援
④社会資源(公費負担医療、各種手帳、医療費助成等)の活用支援
⑤療育・教育機関との連携
⑥その他主治医の指示に基づく医療処置
13.社会資源の活用支援自治体の在宅ケアサービスや保健・福祉サービスの紹介
①民間や関連機関の在宅ケアサービスの紹介
②ランティアサービスの紹介
③各種サービス提供機関との連絡・調整
④住宅改修、福祉用具導入等の相談助言
⑤公費負担医療制度、医療費助成制度等の活用支援
研修制度
我社の教育方針
人の生きる目的は成長することである。この為には目標がまず必要とされます。教育・研修の根底には、受講する人、一人ひとりの目標が存在しないかぎり、教育・研修そのものが意味を持たないことになります。人材は、人間が「育てる」ものではなく、自然に「育つ」ものであり自らが育つものということがいえます。そして目標に向かっていく人材の成長を支援することが教育・研修の基本であると考えます。

セントケアに入社すると、約3ヶ月間に及ぶ研修が始まります。先輩スタッフとお客様のご自宅への訪問同行があり、チェックリストに沿って確認を行っていきます。このチェック項目について、ご自身と先輩スタッフ双方が納得できるまで繰り返し研修を重ねていくため、未経験の方でも自然に自信をもって仕事がはじめられます。

教育体制により専門職として成長することに伴い、キャリアップの道も開けます。
-
井田 若手看護師からの声
セントケアの訪問看護には手順があり仕組みがあるので、看護師としての経験は浅い20代の私も、不安になることなく、やりがいを感じながら働くことができます。ステーションに戻れば所長や先輩が親身になってサポートしてくださることも安心材料のひとつです。
-
磯 現場マネージャーからの声
ひとり一人がやりがいをもって仕事をするために、さまざまな教育、研修プログラムがあります。人と人とが関わる仕事なのでマニュアル化できないことも多いですが、お客様にとっては均一なサービスを得られるように、私たちにとっては手順にのっとり安心して仕事ができるような環境づくりが進んでいます。
訪問看護師の1日
訪問看護の現場で働く看護師は、どんな1日を過ごしているのでしょうか? ある1日のスケジュールを紹介します。
08:30 出勤 (環境整備、朝礼、ミーティング、出動準備など)
09:00 1件目 (難病のお客様の状態観察とリハビリテーション)
10:15 2件目 (寝たきりのお客様の褥瘡処置)
11:30 3件目 (糖尿病のお客様の服薬管理)
12:00 お昼休憩
13:30 3件目 (人工呼吸器のお客様の機器管理と状態観察、排便コントロール)
14:45 4件目 (がん末期のお客様の状態観察、疼痛コントロールの確認)
16:00 帰社 (関係者との連絡調整。訪問記録作成とファイリング)
17:00 報告など (一日の報告、相談が終わったら、片付けなど退社準備)
17:30 退社 (お疲れ様でした!)
お客様宅へ自転車で移動※移動手段は地域によって異なり、自動車の場合もあります。

明るく元気な挨拶で訪問し、体調の確認から始めます。

訪問記録はPCで入力します。

訪問看護師のカバンの中身

#01 聴診器・ステート

#02 血圧計

#03 血中酸素濃度計

#04 体温計


#05 ハサミ

#06 爪切り

#07 使い捨て手袋

#08 アルコール綿

#09 消毒液

#10 紙の資料と筆記用具

座談会
改めて語り合ってみました。
一見、難しそうに見える訪問看護の仕事。実際に現場で活躍している先輩はどのように感じているのでしょうか。訪問看護ステーションをマネジメントする所長と入社2年目の社員に、仕事のこと、職場のこと、お客様のことを本音で語り合ってもらいました。

-
磯 井田さん、最近はどうですか? すっかり仕事にも職場にも馴染んできているように見えますね。
-
井田 はい! 入社して一年が経過して、最近、少しは自信を持ってお仕事ができるようになれたかな?って感じるようになりました。病院に勤務していた時よりも“楽しさ”や“やりがい”を持ちながらお仕事ができているかなという部分はあります。
-
磯 それはどういった“楽しさ”なんでしょう?
-
井田 そうですね。一人のお客様ときちんと向き合えるというところでしょうか。元々、高齢者の方が好きというのもありますが、じっくりお話も聞けますし。元々、学生の時の実習で在宅医療に興味を持っていまして、将来的には、“そういう仕事に就きたい!”という気持ちはありました。
とはいえ、やはり最初に病院で経験を積んだ方が良いかなと考えたんです。ところが、病院では本当に忙しくて目の前の仕事に追われるばかり。一人の方としっかり向き合うのが難しかった……。そこで、訪問看護専門の会社に転職しようと考えました。 -
磯 確かに、当社に面接に来る方のほとんどが井田さんと同じように、「急性期を経験しているとどうしても業務に追われてしまって、じっくりお客様に向きあえない」と言っています。最近は、病院から転職する方だけでなく、在宅医療に興味を持って、新卒でセントケアに入ってくる人も増えています。もちろん、当社では病院勤務が未経験の方でも活躍できるような研修制度が充実しています。
-
井田 所長はどのような経緯で、セントケアに入社したのですか?
-
磯 大学病院に勤務したのちに海外協力隊に志願して南米に行って、12年ほど向こうで生活しました。帰国して、子育ても終えて、家にいてもしょうがないし、少しだけ仕事をしようと考えました。やがて母親の介護も必要になりますし、“自宅介護ってどんな風にやるんだろう?”って、勉強もかねてセントケアにパートで入社。そうしたら、ハマッちゃいました。あれから12年。とても充実していたせいか、あっという間に時間が過ぎてしまいましたね。
-
井田 訪問看護に対する第一印象はどのようなものでしたか?
-
磯 病院と同じことができるんだ!? って、素直に驚いて感心しました。
医療器具など、使うものには多少、工夫が必要ですが、基本、病院も家も一緒だなって感じましたし、どんどん要介護のお客様が病院にいられる日数も減ってきています。ますます訪問看護の必要性が高まっていくのを感じているので、良い仕事を選んだなって思っています。
-
磯 研修はどうですか?
-
井田 病院勤務を経験した私も入社直後の研修では、基礎の基礎から学びました。そして、ステーションに配属になってからも、まず先輩との同行実習があって、自信がつくまで、じっくり教わりました。
-
磯 そうですね。訪問看護は病院とは違って、決められたことを指示通りにやるのではなく、現場では一人で判断しなくてはならない場面も多い。最初の頃は不安になることが多いと思うけれど、その不安がなくなるまでフォロー体制が組まれていますね。
-
井田 確かに。私も当初はそうだったのですが、訪問看護ってハードルが高いイメージがあって、経験が浅いとチャレンジできないとか思っている人はけっこういると思います。でもここは教育体制もしっかりしているし職場でのフォローも手厚い。新人さんを支える体制があるので、安心できるのではないでしょうか。
-
磯 そこはセントケアという企業の力があるから実現できる環境なのでしょう。研修の充実ぶりはもちろん、全国展開しているので、たとえば結婚や出産、引っ越しなどのライフイベントに左右されることなく、いつでもどこでも働き続けることができるのも魅力かも。

一人ひとりの成長を支える場
-
井田 そうですね。一生続けられる、やりがいある仕事ですからね。そういったバックアップ体制がしっかりしていると安心です。磯所長は、どのような思いでステーションの運営をされているのですか?
-
磯 所長の立場としては、皆さんに仕事を楽しんでもらいたいと思っています。人が仕事を楽しいと思えるのって、“職場が楽しい”“やりがいを見いだす”“成長ができる”など色々な条件があると思いますが、そのすべてがここには揃っている。スタッフみんなで楽しいことも大変なことも分かちあえるし、お互いがお互いを支えあえる職場を作っているつもりです。
-
井田 それは常に感じています。周囲に看護師の先輩がたくさんいるのはもちろん、同じ会社にケアマネや介護職の方もいます。皆さんから、様々な観点からアドバイスを受けることができるのも、セントケアならではの良さ。とても成長しやすい環境だと感じています。
-
磯 そうですね。セントケアは、気持ちの優しい人が集まっているから、お客様やそのご家族はもちろん、社内の同僚に対しても思い遣りをもって接することができるのかも。そういった方々に興味をもっていただけると良いですね。

セントケア訪問看護ステーション池袋 選任係長。大学病院で8年間勤務したのち、海外協力隊の活動に参画して南米へ。帰国後、子育てが落ち着いたタイミングで、パート社員としてセントケア東京に入社。訪問看護の仕事に魅了され、正社員として看護の現場業務はもちろん、マネジメントも任されるようになった。現在は、統括的な立場として複数のステーションのマネジメントや看護師教育にも携わっている。

看護師として3年、病院に勤務。2018年にセントケア東京に入社し、訪問看護師としてキャリアを積みはじめた。元々、おばあちゃん子で、お年寄りと接するのが大好き。明るく元気で、しっかり者というキャラクターでお客様からも愛されています。
セントケア・グループ 介護・看護の正社員・パート求人サイト